魚の油はダイエットの味方です!現役トレーナーが解説

魚の油はダイエットの味方です!現役トレーナーが解説

この記事はこんな方におすすめ!

・ダイエットに魚を取り入れたい

・ダイエット中に魚を食べて良いのか知りたい

「魚って油が多いからダイエットに向いてないんじゃない?」

「ダイエットに魚って食べても良いの?」

魚は油が多いというイメージから、ダイエット中に食べて良いのか悩んでいる方は意外と多くいらっしゃいます。

結論から言うと、

魚の油はダイエットの味方です」

です。

今回はなぜ、魚の油がダイエットの味方なのかを細かく分かりやすく解説していきます。

魚の油って…

サバやサンマ、アジや鯛など季節によっても変わってきますが、脂ののった魚はとても美味しいですよね。

油(脂)のようなものが口の中に広がる感じ、それは間違いなく魚の油(脂)なのですが、魚によっては本当にジューシーで、これだけで太ってしまうのではないかと思うぐらい。

下記の成分表はサバとサンマの100gあたりの成分です↓

参考 : カロリーSlism

ご覧のように、成分を見てみると魚は油(脂)である「脂質」が多い傾向にあります。

この脂質が多い食材ほど油(脂)がのっているこってりジューシーなイメージです。

それではダイエット食の定番、鶏肉のササミはどうでしょうか↓

参考 : カロリーSlism

同じ100gあたりの成分で脂質の量がこんなにも違います。

三大栄養素である、炭水化物・脂質・タンパク質の中でも炭水化物とタンパク質は1g=4kcalなのに対して、脂質は1g=9kcalとカロリーも倍以上。

この成分表だけ見ると、ダイエット中に魚を食べるなんて「絶対痩せない!」と思ってしまいますよね。

魚は油が多いから太る!は間違い

魚の油は太りません。

その理由は油の種類と魚の油に含まれている2つの成分にあります。

不飽和脂肪酸がメインであるということ

ステーキやバターなどに含まれる油は、飽和脂肪酸がメインなのに対して、魚の油やナッツ類は不飽和脂肪酸がメインとなっています。

この飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いですが、

【飽和脂肪酸】

・動物性の脂肪に多く含まれている

・エネルギーとして使われやすい

・体内でつくることができる

・過剰摂取になりやすいため生活習慣病になるリスクがある

・こってりした油のイメージ

 

【不飽和脂肪酸】

・植物油や魚油に多く含まれている

・エネルギー効率は悪い

・体内でつくることができない

・血液サラサラ、血管拡張、コレステロール低下、抗炎症作用など健康面で良い

・サラっとした油のイメージ

このような違いがあり、魚の油は後者の不飽和脂肪酸がメインであるため、カラダに「良い油」ということになります。

どちらもカラダの細胞をつくるのに大切な成分ですし、エネルギーとして大切な脂肪酸なのですが、魚の油は悪い油ではないということが少しでも理解いただけたのではないでしょうか。

 

魚の油に「DHA」と「EPA」が含まれているということ

一度は聞いたことのある「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(エイコサペンタエン酸)」が魚の油には含まれています。

この「DHA」と「EPA」を摂取することで脂肪を燃焼させる細胞の「褐色脂肪細胞」を増加させ、体脂肪の減少を促してくれるということが研究で分かっています↓

魚油が脂肪を分解する「ベージュ細胞」を増やす

研究グループは、魚油がエネルギー代謝に及ぼす影響を、肥満マウスを使った実験で調べた。

ヒトの体には、脂肪を貯めこむ「白色脂肪」(WAT)と、脂肪を分解し熱を産生する「褐色脂肪」(BAT)がある。

最近の研究では、「白色脂肪」が褐色化を起こし、「褐色脂肪」のような機能のある第3の脂肪である「ベージュ細胞」に変化することが分かってきた。ベージュ細胞の減少や退縮が中年太りの原因であり、逆に発現を誘導したり活性化すると肥満を改善できると考えられている。

「褐色脂肪」には、エネルギーを作り出す細胞器官であるミトコンドリアが多くあり、この器官に含まれる「UCP1」と呼ばれるタンパク質が熱を産生している。「ベージュ細胞」を増やし肥満を改善するために、UCP1の発現を高めると効果的だ。

研究グループがマウスに高脂肪食あるいは魚油添加食を103週間与えたところ、魚油添加食を与えたマウスでは高脂肪食を与えたマウスに比べ、酸素消費量が増え体重が5~10%減少し、体脂肪の蓄積が15~25%減少するという結果になった。

詳しく調べると、魚油を摂取したマウスの「ベージュ細胞」では、UCP1を発生させる受容体が増え、UCP1の発現量が4倍に増えていることが分かった。

魚を食べてエネルギー代謝を向上、メタボを改善

研究グループは、褐色脂肪の交感神経の活動を促すとUCP1の発現を増やせることに着目。魚油を摂取すると、脂肪組織で神経伝達物質のノルアドレナリンが放出され、交感神経が活性化することを突き止めた。

次に、この反応を引き起こす成分として、UCP1を誘導する作用をもつトウガラシの辛味成分「カプサイシン」の受容体として知られている「TRPV1」に着目。TRPV1が欠損したマウスに魚油を与えても、交感神経の活性化が起こらないことを確かめた。

これらの結果から、魚油によるエネルギー代謝の向上は、胃や小腸に分布するTRPV1を介した交感神経の活性化と、それにより引き起こされる「褐色脂肪」、特に「ベージュ細胞」の発現促進によってもたらされることを確かめた。

研究は、京都大学農学研究科の河田照雄教授、金智教務補佐員、後藤剛准教授、自然科学研究機構生理学研究所・総合研究大学院大学の富永真琴教授、内田邦敏助教らの研究グループによるもので、科学誌「Scientific Reports」オンライン版に発表された。

「日本型の食生活は、魚介類を豊富に含む食材を多用することが特徴のひとつ。今回の研究で魚を食べると体に良いことが、代謝のメカニズムから明らかになった。健康に良い日本型の食生活を促進し、魚介類の消費を拡大することが、メタボリックシンドロームの改善と健康寿命の延伸につながる可能性がある」と研究者は述べている。

参考文献 : 糖尿病ネットワーク

また、「DHA」と「EPA」は他にも

・血液サラサラ

・血栓を予防

・コレステロール低下

・中性脂肪の低下

など健康的にも良いことだらけなのです。

「DHA」と「EPA」を多く含む魚TOP5

※可食部100gあたりの量で計算

TOP1 : 本マグロ (DHA=2870mg EPA=1280mg)

TOP2 : サバ (DHA=1780mg EPA=1210mg)

TOP3 : 真鯛 (DHA=1830mg EPA=1080mg)

TOP4 : ブリ (DHA=1780mg EPA=900mg)

TOP5 : さんま (DHA=1400mg EPA=840mg)

出典:脂肪酸成分表 文部科学省

調理すると「DHA」や「EPA」が減る?

せっかく「DHA」と「EPA」が多い魚でも、調理法を間違えてしまうと多くを失ってしまいます。

焼くという調理法だと約20%、上げると約50%も減少してしまうと言われています。

効率の良い食べ方としては、

・生でそのままお刺身に

・煮込んだ場合は煮汁ごと全て完食

この方法だとしっかり逃さずに「DHA」と「EPA」を摂取できます。

 

まとめ

いかがでしたか?

今まで「魚は油が多いから太る」と思って避けてきた方も、この記事を読んだ後は魚を取り入れたくなったと思います。

魚の油は、ダイエットの味方です。

その理由は脂肪酸の種類と「DHA」「EPA」を多く含んでいること。

こってりした悪い油ではなく、「良い油」ということ。

少しでも皆様の健康や栄養のためのきっかけとなれば幸いです。

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