炭水化物抜きダイエットって本当はどうなの?

炭水化物抜きダイエットって本当はどうなの?

この記事はこんな方におすすめ!

・炭水化物抜きダイエットって効果あるの?

・炭水化物抜きダイエットについて詳しく知りたい

米やパンなど、炭水化物の摂取を極端に制限する「炭水化物抜きダイエット」。

手っ取り早く、痩せられるダイエット法として人気を集めていますが、問題点もわかってきました。

炭水化物抜きダイエットを考えているなら、そのメリットとデメリットを理解した上で慎重に判断した方がよさそうです。

この記事を読み終えると

この記事を読み終えると、

・炭水化物抜きダイエットの基礎知識と、問題点が理解できる

・正しいダイエット法が知れる

このようなことができるようになります。

炭水化物抜きダイエットとは?

加齢とともに「お腹が出てきた」、「ダイエットしても痩せにくくなってきた」という人も多いはず。

簡単に痩せられる方法はないかとネットで調べてみると、炭水化物抜きダイエットを推奨する記事がたくさん出てきます。

 

炭水化物抜きダイエットとは

炭水化物抜きダイエットとは、米・パン・麺類・砂糖・イモ類といった炭水化物を豊富に含む食品を徹底的に避ける方法。

炭水化物は、「糖質」と「食物繊維」で構成されますが、糖質の摂りすぎが肥満の原因となることから、炭水化物に含まれる糖質を制限するというものです。

 

どのような効果があると言われていた

炭水化物抜きダイエットは、短期間で痩身効果があらわれやすいと言われています。

なぜ、痩せるのでしょうか。

炭水化物抜きダイエットのメカニズム

炭水化物をたくさん摂取すると、体内に吸収される糖質が増え、血液中に入り込むブドウ糖も多くなります。

そうなると、血糖値が急激に上昇しますが、それを抑えるために「インスリン」というホルモンが分泌されます。

その働きによって、血液中のブドウ糖を全身のさまざまな組織に取り込み、血糖値をコントロールするわけです。

体内に吸収されたブドウ糖は、人が活動するために必要なエネルギーとして使用されます。

使用されないブドウ糖は、グリコーゲンとして肝臓や筋肉などに蓄えられ、それ以外のブドウ糖は中性脂肪として皮下脂肪や内臓脂肪のかたちで蓄えられます。

炭水化物を過剰に摂取すると、お腹周りの脂肪が増えて太ってしまうのはこのためです。

一方、炭水化物抜きダイエットを行えば、血液中に入り込むブドウ糖の量が減少。

インスリンの分泌も抑制され、脂肪が増えにくくなります。そうしたメカニズムによって、痩身効果が得られるわけです。

炭水化物抜きダイエットが危険な理由

人気の炭水化物抜きダイエットですが、問題点も指摘されています。

 

栄養バランス

まず、栄養バランスが大きく崩れてしまいます。

炭水化物は糖質だけでなく、食物繊維も含有。

このため、炭水化物抜きダイエットによって食物繊維の摂取量も減少します。

食物繊維は「第6の栄養素」と言われ、腸内環境を整え、肥満を防ぎ、生活習慣病予防に役立つ栄養素。

食物繊維の摂取量の減少は腸内細菌叢のバランスを崩し、体調不良の原因となります。

 

筋肉の分解

炭水化物抜きダイエットには、さらに大きな落とし穴があります。

糖質を極端に制限すると、血液中のブドウ糖が不足し、血糖値を維持しようとして筋肉が分解されます。

その結果、筋肉量が減少してしまうのです。

体脂肪が減るだけならよいのですが、筋肉の量までも減少することになり、かなり不健康な状態を招いてしまいます。

 

他の栄養素の過剰摂取

炭水化物抜きダイエットを行う人のなかには、栄養を補うために、タンパク質と脂肪を多めに摂取するケースがあります。

この場合、脂肪の摂取量が増えるため、将来的に心血管疾患の原因になると指摘されています。

 

問題点はこれだけではありません。

炭水化物抜きダイエットを続けると、長期的には寿命を縮める可能性があります。

 

こんな研究結果が!

米国ブリガム婦人病院の研究チームが行った研究により、炭水化物の摂取量と平均寿命の間に「U字型」の関係があることがわかりました。

動脈硬化リスク研究に参加した約1万5,400人(45~64歳)を平均25年間にわたって追跡調査したところ、炭水化物のエネルギー比率が50~55%の人と比べて、40%未満でも、また70%以上でも死亡リスクが高まることが判明。

 

とくに40%未満では、平均寿命が4年も短くなっていました。

この研究結果から、炭水化物は取りすぎても不足しても、長生きできないと言えます。

炭水化物抜きダイエット起こる体の変化

炭水化物抜きダイエットを行うと、さまざまな症状が出ることが報告されています。

主な症状は、頭痛や倦怠感。

極端に炭水化物を制限すると、体内の糖質が不足し、低血糖症になるリスクが高まります。

頭痛や倦怠感が起こるのはそのためです。このほか、手足のふるえや動悸などが起こることもあります。

また、低血糖の状態になると、脳の血流が悪化し、判断力が鈍ったり、眠くなったりするなどメンタル面も不調に。

とくに一日中眠くて仕方がないのは、典型的な初期症状の一つです。

そしてさらに、便秘も起こりやすくなります。

炭水化物の制限は糖質だけでなく、食物繊維の摂取量の減少にもつながります。

その結果、腸の活動が低下し、便通が悪化するのです。

 

なぜ、中年になると太ってしまうのか?

理想的なダイエット方法を考える前に、中年になると太りやすくなる理由について理解しましょう。

私たちは心拍や呼吸、体温の維持など、無意識のうちに生命維持活動を行っています。

そのために必要となる最小限のエネルギーを「基礎代謝」と言います。

1日に消費するエネルギーの大半を基礎代謝が占めています。

10~20代の若い人は基礎代謝が高く、生命維持活動で使用されるエネルギー量も多いのですが、加齢とともに基礎代謝は低下し、使用されるエネルギー量も減少していきます。

このため、中年になると痩せにくくなるわけです。

健康的なダイエット方法とは?

 では、中年太りが気になり出したサラリーマンなどにとって、健康的なダイエット方法とはどのようなものでしょうか。

ダイエットしながら、健康の維持・増進を図るためには、運動と食事の両面からアプローチすることが大切です。

運動面からのアプローチには、二通りあります。

それは、筋肉量を増やすための筋力トレーニング(無酸素運動)と、体脂肪を減らすための有酸素運動です。

無酸素運動である筋力トレーニングを行うと、脂肪は減りませんが、筋肉量が増加。

これにより基礎代謝の低下を防ぎ、太りやすい体質が改善されます。

一方、有酸素運動であるジョギングやウォーキングを行うと、肝臓や筋肉に貯蔵されたグリコーゲンを使用しますが、それだけでは長時間続けることができません。

そこで、内臓脂肪や皮下脂肪からエネルギーを作り出します。つまり、体脂肪が減少するわけです。

運動面からアプローチする場合には、筋力トレーニングと有酸素運動を併用すると、より効率的にダイエットができて、リバウンドしにくい体質へと生まれ変わります。

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水溶性食物繊維やタンパク質を意識して摂る

次に、食事面からのアプローチを説明します。

食事によるダイエットは、摂取カロリーが消費カロリーを下回る場合に効果が表れます。

つまり、食事による摂取カロリーを減らす必要があります。

前述したように、炭水化物の摂取量は多すぎても、不足しても健康を害します。

摂取カロリーを抑えるために、ご飯や麺などの量を少し減らす程度で始めてみましょう。

筋肉量を維持する観点からは、タンパク質の摂取量を増やすことが大切。

タンパク源として肉・魚・大豆などがありますが、肉ばかり食べるのではなく、バランス良く摂取しましょう。

肉類を取ると脂肪分の摂取量も増えます。

動物性脂肪は取りすぎると生活習慣病の原因になるので、肉類の食べ過ぎは要注意です。

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腸内環境を整え、お通じを良くすることもポイント。

そのためには食物繊維を豊富に含む食品を意識して食べましょう。

食物繊維を豊富に含む食品には、海藻類をはじめ、穀類(玄米・麦・トウモロコシなど)、豆類(大豆・小豆など)、イモ類(サツマイモ・里芋など)、野菜(ゴボウ・セロリ・キャベツなど)があります。

なかでも、整腸作用にもっとも力強く働きかけるのが水溶性食物繊維。

代表的なものに、ワカメなどの海藻類があります。

このほか、できるだけ寝る前に食べないように心掛けてください。

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こんな研究結果も!

米国ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームの報告によると、夕食を午後6時に食べた場合と比べ、午後10時に食べた場合は平均で血糖値が18%上昇し、夜間の脂質の燃焼が約10%低下する傾向が認められたそうです。

まとめ

炭水化物抜きダイエットは体重を減らす効果はありますが、栄養バランスを欠いたり、低血糖の状態になったりして、体調を悪化させる原因に。

そして、長期的には寿命を縮める可能性も指摘されています。

健康的なダイエットを行うためには、運動と食事の両面からアプローチすることが重要。

運動を行う際のポイントは次の2点です。

筋力トレーニングを週1回以上行う→基礎代謝が向上し、太りやすい体質から抜け出す

 ジョギングやウォーキングといった有酸素運動を継続して行う→体脂肪が減少する。

筋力トレーニングについては、トレーニングジムに通わなくても、自宅で簡単にできます。

週に1回、20分~30分程度で構いません。

例えば、腕立て伏せやスクワット運動がおススメ。少しきつく感じるまで、体力に応じて、それぞれ数セット行いましょう。

有酸素運動についても、ジョギングやウォーキングを毎日行わなければならないというわけではありません。

例えば、会社や自宅マンションのエレベーターを使わず、階段を利用することも効果的。帰宅時に最寄り駅の1つ手前で下車し、自宅まで歩くこともおススメです。

そうした取り組みを織り交ぜれば、無理なく続けられるのではないでしょうか。

次に、食事面のポイントは次の3点です。

炭水化物を取りすぎても不足しても健康に悪影響を与えることを理解し、ご飯などの量を少し減らす→摂取カロリーを減らす。

タンパク質を多めに取る→筋肉量を増やして基礎代謝の向上につなげる。

食物繊維(とくに水溶性食物繊維)が豊富な食品を多めに取る→お通じを良好に保つ。

特定の食品群を食べ過ぎたり、極端に制限したりすると、一時的な痩身効果が得られたとしてもリバウンドが大きく、また体調不良が生じます。

 

上記のポイントを押さえながら、適度な運動とともに、さまざまな食品を摂取するように心がけましょう。

ネット上にはさまざまな情報が溢れていますが、正しい情報を活用して健康的なダイエット法を実践してください。